「高温焼成で際立つ陶磁器材料の色彩や物質感を、より簡潔に表面化できないか。」 こうした意識から、陶芸表現としての平面作品「Ceramics Drawing」の展開は始まった。
画面となる支持体にはセラミックファイバー紙を使用。そこに釉薬等の着色材料である酸化金属や耐熱顔料を用いて、描画する。その後、板硝子で挟み込むようにセッティングし、窯で高温焼成を行う。焼成で硝子は溶け、その熱融着によって画面は密閉状態に被覆され、作品は完成に至る。
その制作は、「規則的なシステム」と「偶発的な事象」が互いに作用し合いながら進んでいく。描画材料によっては、密閉された画面で生じる還元雰囲気の影響を受け、その色彩やイメージは鮮やかな変貌を遂げることも、次第に分かってきた。こうしたドラマティックな様相は、まるで自然界のエネルギーを可視化させたようでもあり、現在、作品は更なる広がりを見せ始めている。