アーティストと制作の現場は、双方の相互作用のもとに成り立っていると私は考えている。それは意識と身体の関係にも似ているが、感性と場の微妙なバランスや無自覚的な影響によって思考は展開し、物事は決定され、情報は取捨される。
今、私が制作の現場に求めているものは、自身にとって合理的で簡潔な状況ではなく、あえて多義的で曖昧さを内在する場を設定することによって、固定化されていない真新しい感性を自身の中に見出していくことにある。そこで私が何を考え、選択し、集約するのか。それこそが今後の私の基盤を形づくっていく。
亀井洋一郎